そうでもしなければ、心が落ち着かなかった。何かしていなければ、何かと直面していなければ、自分が自分でなくなりそうだった。
白獣のゆきと初めてであった神山へと再び入る。
時とそして、世界をも移動する為に。
その神湖に入り、ひたすら精神統一を続ける。
それは麻依を呼ぶ世界からの声を聞くため。その波長を辿る為。
気が勢いよく高まっていく。そこは神聖な地。自然の気を自分の中に取り込み、自分のそれを普通の状態のそれよりうわまったものとして高めるのである。
何もかも止まったようなそこ、静止と静寂の中、麻依を中心をとして気の波動が空気を振るわせはじめる。
徐々にその波動が黄金色のはっきりとしたオーラとなって広がっていく。
麻依の黒髪がふわりと浮き上がりながら、ゆっくりと黄金色に染まっていく。

「見えた・・・・あの世界だわ。私を呼んでる声は、あの地から聞こえる。」
「飛ぶぞ、麻依!」
「ええ!」
麻依の両腕に抱かれじっとしていたゆきが、変化を解き、元の白獣の姿に戻る。
と同時にその巨体を空へ、天へ踊らす。
「背中へ飛び乗れ!落ちるでないぞ。」
「はい!」
麻依とゆきは、それぞれの思念を同調させ、時と、そして、次元の海を飛んだ。異世界へと、過去へと。
そして、数回の次元移動で、麻依は自分の数世代前の人物、人魚の摩衣霧と、いっきゅうの数世代前の人物である三条一休、そして、ハサンの前世ハチを見つけた。
(幸せそうね。人魚から人間に変化して、ホントに幸せそうだわ。)
麻依はそのことを心から喜んだ。