2006年04月07日

黄金郷アドベンチャー・序章3/その6・虹の彼方へ

そして、様々な事件を乗り越え、過去生である人魚の摩衣夢と一休とも和解し、海賊島の大ボスであるハチの支援もあり、次元航路を通って摩衣夢の本来の世界、黄金郷の世界へ、海賊たち勇士と共に麻依は旅立った。

はじめの頃は、穏やかな航海だった。が、その日、予期していた通りの事態に陥った。
不意に荒れ狂い始めた空、そして、海。
数時間前の好天候と穏やかな海が嘘のように荒れ狂っていた。
5隻の船は、それぞれの船長の命令に従い、火事場の喧噪のごとくクルー達が走り回っていた。
そして、麻依は、なんとか悪天候を鎮めようと祈りを続けた。
が、何かに操られているような、あるいは、何か禁忌をおかし、その報いでもあるかのように、空と海は荒れ狂っていた。
「巫女様!祈りは効きません。船室へお入りください!」
「ダメよ!紫鳳・・・私だけじっとしているなんて・・できないわ。」
「いえ、巫女様ならばこそできることがあります。船室へ、操舵室で碧玉を通して船を浮かせましょう。」
「船を・・浮かせる?」
「高波さえ受けなければ転覆はありえません。私たちが十分なエナジーを出せるなら、この嵐を乗り越える間くらい船団を守れるはずです。」
「でも、紫鳳・・・」

「きゃあっ!いっちゃん!」
「摩衣霧?!」
麻依が見たのは、一休が高波に取られ、摩衣霧がそれを追うようにして海へと飛び込んだその瞬間だった。
「摩衣霧っ!いっちゃんっ!」
「ダメです!巫女様っ!行ってもどうすることはできません!今は我々のできることをすべきです!」
「離して紫鳳!摩衣霧が・・私が・・・・いっちゃんが!」
「巫女様っ!」
ぱん!と紫鳳の手が麻依の左頬を打っていた。
「し、紫鳳・・・・」
「お許しください。しかし・・巫女様はわかってらっしゃるはずです。今、何を一番にすべきかを。」
「・・・・・」
無言で麻依は船室へと走った。
今すべきこと。今の自分にできること。それは、紫鳳の提案どおり、船を少しでも安全な状態に保つこと。5隻の船団をバラバラにさせないこと。


「紫鳳!補助をお願い!」
「はっ!」

意識を集中する。天候を鎮めるため使ってしまった霊力を補うべき、持てる気力を注ぎ、麻依は意識を集中していった。



「麻依さん!」
どれほど経ったのか、麻依にはわからなかった。
ただ、ひたすら意識を集中し続け、我を忘れ、霊波動を発し続けていた。
操舵室へ飛び込んできた紫鳳船長のかけ声で、麻依はふっと我に返った。
紫鳳船長のその呼びかけが、あの嵐を脱出したことなのだと悟ると、咄嗟に麻依は、集中を解いて立ち上がろうとした。
「巫女様っ!」
気力の使いすぎで平衡感覚が保てず、倒れるところだった麻依を、紫鳳が慌てて、自分自身も幾分ふらつきながら支える。
「麻依さん、大丈夫ですか?紫鳳神官も。」
「ええ・・」
「私は大丈夫です。」
そして、紫鳳の肩を借りたまま、麻依は甲板へと出る。

海は穏やかな表情を取り戻し、空は青く晴れ渡っていた。

「あれを!」
紫鳳船長が、行く手にかかる大きな虹を指さした。
(七色に輝く虹。幼い頃、虹の向こうに黄金の国があると夢見た。それが実現するとはな。
一休さん、摩衣霧さん。これはお二人の愛のあかしか? オレたちの門出を祝福してくれてるのか?オレはこの瞬間をけっして忘れねえ)

(あの悪天候を・・・空と海を鎮めてくれたのは、摩衣霧、あなたといっちゃんね。・・・・あなたたちが命を賭して、鎮めてくれた・・・のね。)

虹を見上げている麻依の元に各船の船長たちから報告が入る。
船はそれぞれあちこち損傷があるものの航行には影響なし、クルーたちの欠員と、重傷といえる怪我人もなかった。
・・・ただ、大きな・・麻依にとって大きすぎる欠員を覗いては。
それは、三条夫妻。どこをさがしても船内に彼らの姿はなかった。
2人が荒海の中に消えた瞬間を見た者は麻依以外にも数人いた。彼らから、それぞれにその報はすでに行き渡っていた。


(いっちゃん・・・摩衣霧・・・あなたたちが幸せそうに微笑みながら寄り添っている姿が、私には見える。はっきり、見える。私は、後悔なんてしない。立ち止まらない。
あなたたちが命をかけて開いてくれた、この道を、まっすぐ進む。
いっちゃん・・・摩衣霧・・・私を、見守っていてね・・・)

止めどなく流れる涙を拭くことも忘れ、麻依は無言のまま、その虹を、虹の下で寄り添って微笑んでいる摩衣霧と一休を見つめていた。
船団のクルーたちも、全員甲板に出、その虹を見つめていた。



「さあ、行くわよ。あの虹の下が、次元航行の入り口。みんな、頼むわよ!」
涙を拭って気持ちを入れ替え、それでもまだ出続けようとしている涙をぐっと堪え、麻依は力強く声を張り上げた。



※一部みずきさんの書かれた文章を元に少し変えて書き加えさせていただきました。m(__)m 

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