2006年04月07日

黄金郷アドベンチャー・序章3/その7・突入、砲弾の嵐

「紫鳳船長、もうすぐ出口よ!」
「了解。そこからはオレ達に任せといてくれ!」

5隻の船を従える旗艦エルフィーダの操舵室。
碧玉とシンクロさせ次元航路を進ませていた麻依が、彼女と神官紫鳳の後ろでじっと見つめている紫鳳船長に言った。

紫鳳船長は、即座に指示を飛ばす。
「各員戦闘体勢につけ!出た瞬間の一斉砲撃に備えるんだ!敵のへなちょこ玉なんぞに負けたらただじゃおかねーからそう思え!腹ぁ、くくってかかってくぞ!」
「うぉ????っす!!!」

熱く燃える海賊たち。

次元航路の出口が刻一刻と近づいてきていた。

先頭をきって航行していたエルフィーダが徐々にスピードを落とし、後方へと下がり、その周囲を囲むように、他の5隻が円陣を組み航行を続行する。


「碧玉よ・・・」
麻依は、目の前の碧玉に話しかける。
「入口を示しておくれ。黄金郷への入口を。次元航路からの出口を。」
そして、精神を集中し、碧玉と波長を合わせ、周囲に注意を払っていく。
何もないその空間、どこまでも同じ闇が続いているその空間をじっと目を凝らして見つめる。

緊張の数分。
黄金郷の世界への出口は、碧玉を介した麻依にしか見つけられない。
そして、その門が開くと同時に、敵からの一斉攻撃も十分考えられた。
門をくぐり向こう側へ出るそのおよそ20数秒間に勝負はかかっていた。
向こうへ出てしまえば、それまで次元航行に費やしている麻依の霊力は、船を覆うシールドへと向けられる。
そうすれば、戦闘はずいぶん楽になる。
鉛の実弾は、上手く交わすか狙い打ちして撃破するしかないが、エネルギー弾は、シールドで無力化される。
敵の弾はどちらが多いか、それも気になるところではあるが、ともかく、全弾撃ち返す。それが彼らの作戦だった。

その為に、今日のこの時の為に、砲手は腕を磨き、操舵室と機関室のクルーたちはあうんの呼吸を培う訓練をし、船を、武器を、システムを整備し、クルー全員それぞれの持ち場で、万全を尽くしてきた。


「いいか、野郎共!弾一発でもかすらせるんじゃねーぞ!」
紫鳳船長が全船に向かって叫ぶ。
「へいっ!」
「しくじったら、てめーの腕で受け止めろ!麻依さんにゃ1発だって当てさせるんじゃねーぞ!」
「へいっ!」

男達は意気込む。何がなんでも無傷で門をくぐり抜ける!
全弾、はじき飛ばしてやる!
人一倍血気盛んな紫鳳船長である。先頭切って、砲弾の嵐の中に殴り込みをかけたかったが、自分の船の操舵室に麻依を乗せていてはそうもいかない。万が一のことがあってはならない。
従って、僚船に守られるように中央に陣取るその陣形は気にはいらなかったが、今回だけはそうすることが必至だった。その分、もし万が一砲弾が操舵室に飛び込んでくるようなことがあれば、本当に自分自身で受け止めるつもりだった。

『見えた・・・』
目を閉じて精神統一していた麻依がつぶやいた。
そして人差し指を上げると、紫鳳のカウントダウンが始まった。


「10・・9・・8・・・・・
 ・・・2・・1・・

『我、帰参せり、固く閉じた門を開け、己が主を受け入れよ。』
不思議な余韻を醸しだし、麻依は小さく、が、厳かにつぶやき、碧玉もその言葉に同調するかのように輝きを増す。

目の前の空間がゆっくりと割れ、光が射し込んできた。
もっとも光が抑えられている今、薄暗い光ではあったが、確かに次元航路の外からの光だった。


その門の先に1、2番船の舳先が入ると同時に、予想通り、激しい砲弾の嵐が彼らを襲った。

「全砲斉射!」
「弾道を見極めろ!もたもたするんじゃねーぞ!」
「落ち着いていけ!焦るな!おめーたちならできる!」

砲弾の嵐のゲート内へ、船団は勢いをつけて突入していった。

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