が、敵の集中砲火をかいくぐりなんとか無事?に出たそこは、闇の気配に包まれていた。
夜・・とも夕闇とも違っていた。強いて形容すれば、白夜、と言えるかもしれなかったが、薄闇のベールに包まれたそこには、背筋をなで上げるような何かぞっとする気配がたちこもっていた。
「瘴気・・・っていうんすよね、これって。」
「そうね。」
エルフィーダの甲板、麻依と紫鳳船長は、周囲を見渡していた。
「麻依さんは巫女さんだから、こういった類は良く経験してるんすよね?鬼退治とか除霊とか。」
「そうね・・・・でも、これだけ大規模に広がった気に包まれるのは初めてよ。」
「大丈夫ですかい?霊感が強ければ強いだけ、感じるものもまたすごいって聞きやしたが?」
「ええ・・でも、広範囲にわたってるせいかしら?さほど濃くはないし、それに、船上は、まだ碧玉の気で守られているから大丈夫よ。」
「そうすか。それはよかった。」
「紫鳳船長は大丈夫?」
「あ?オレでやすか?オレは・・こういったのは鈍いというか・・・ぜんぜん気にならないから大丈夫っすよ。といいつつ、今度ばかりは、なんか背中がぞくっときたんすが。」
「普通の人にもさして影響はないわ。でも・・・徐々に染みこんでいくのよ。」
「へー・・さいで。」
「少しずつ心を病んでいくの。」
「ふむ。」
2人はしばらく空全体にたれ込めた鉛色の雲を見上げていた。
嵐越え、次元航行。そして、砲弾の嵐の大歓迎を受けたあとだった。
敵の第二陣の姿も周辺には見られず、彼らは警戒態勢を保ったまま、ひとまず休息を取ることにした。