2006年04月07日

黄金郷アドベンチャー・本章1/その2・迷宮街区での談合



 「そなたがリュフォンヌ殿に引き寄せられてきた巫女殿ですか?」
「はい。麻依と申します。シジュザール殿下、でしたわね?」
「そうだ。この辺り一帯を統治しているシェミュリカ国第一王子だ。」
「お目にかかれて光栄でございます。」
麻依は丁寧に頭を垂れ、お辞儀をする。
「で、カルロス殿からの話によると、闇への抵抗組織を作るという話ですが?」
「はい。私と一緒にこの地へきた海賊たちがいます。彼らと手を組めば魔軍との戦いも可能かと思います。」
「海賊?・・・あなたは海賊の一味ですか?」
「海賊、では不服ですか?どこかの国の正規軍か何かしっかりした礎を持った者たちでないと信用がおけない?」
麻依の視線がきつくなった。
「あ、いや・・・・そういう訳では。あなたと共に行動してきたのであれば・・。」
「あれば?」
「あ、いや・・。」
シジュザールは麻依のきつい視線を受け、汗が吹き出るのを感じる。
先の先の言葉まで読み取られているような感じを受けた。
「・・・・・でも、そうですわね。そう思われるのが普通でしょう。一度彼らと会ってみませんか?言葉や態度は多少乱暴ですが、みな、気さくでいい人たちばかりですわ。戦闘意欲も旺盛ですし。でも、会うといっても、ここは内陸部らしいから・・そうですね・・・・・私を信じてくださるのでしたら、一緒に飛びます?」
「は?・・飛ぶ・・とは・・・・私にそなたと一緒にテレポートしろと?」
「心配でしたら、リュフォンヌさんの恋人のカルロス殿も一緒に。」
「しかし、海賊船は、遙か沖合に停泊しているのであろう。大丈夫なのか?」
「不可能でしたら申し上げません。船には私直属の神官がおります。彼の幇助があれば大丈夫です。」
「そうか・・それなら・・。」
そう応えつつ、それでも、シジュザールは不安そうな色を浮かべていた。

「殿下の代わりに私が参りましょう。」
「叔父上?」
「・・・あなた様は?」
いつの間にかそこに来ていた一人の男が進み出て静かに言う。
「叔父上様ということは・・・」
「いや、いきなり言葉を挟み、失礼つかまつった。我が名はシャバラン。殿下の母親が私の妹でしてな。わたしは王家の血を引いているわけではないのだが、ちょうど殿下の供として旅をしていてこの事態となり申した。」
「そうですか。」
シャバランの穏和そうな笑顔に、麻依も笑顔を返す。
「で、どうであろう?私が身代わりでは不服であろうか?」
「殿下が直接クルーたちに会って判断されるようにと申し出たのです。私は殿下でも叔父君様でも、それでそちらが納得してくださるのであれば、異存はございません。」
シジュザールとカルロスは目配せすると、麻依に、彼らに異存はない旨、軽く頷いて応えた。
「それでは参りましょう。」


Special thanks 紫檀さん(イラスト)

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