2006年04月07日

黄金郷アドベンチャー・本章1/その7・酒場での野球拳

 その日、再び迷宮へとやってきた麻依は、カルロスに迷宮内の酒場へと案内してもらっていた。

「希望者はいることにはいるんだが・・自分の意思とは反対に光のエナジーを受け入れられない者もいるんだろうな。」
「そうね、闇の属性の人は・・おそらく無理だと思うわ。私の光のエナジーで反対に衰弱してしまうかもしれないもの。」
「やはり、光の属性の神官、あるいは、白魔法の使い手に限られるか?しかし、完全に光の属性の人物などいないかもしれないぞ。だいたいが迷宮のお宝目当てに集まってきていた冒険者たちだ。」
「そうね・・・大丈夫、エナジーを引き渡すときは、相手の状態に注意しながら渡すから。」
「それから、今から行く酒場にほぼ全員集まってはいるんだが、この前そちらに行った面々はまだ大人しいというか、友好的な方だったんだが・・中には、麻依さんに協力することに疑問を持っている者もいる。」
「仕方ないわね。考えはみんな人それぞれですもの。でも、なんとか彼らと友好関係を作りたいと思ってるんだけど、これといった方法も思いつかないから、行き当たりばったりでいくことにしたの。」
「行き当たりばったり・・か・・・。」
思慮深いのかなんなのか分からない部分があるな、そうカルロスは感じながら、麻依を冒険者達の酒場へと連れて行った。


洞窟を掘り抜いて作った迷宮の一角、入口に一応造り付けられた木の扉をきしませながら開けると、薄暗い店内にいた冒険者たちの視線が一斉に麻依に注がれた。

「こんにちは、巫女の麻依です。よろしくお願いします。」
にっこり微笑んでから、一部突き刺すような視線も感じつつ、麻依は、カルロスにエスコートされるまま、店内のほぼ中央の円形テーブルに着く。

??ドン!??
さて、それからどう会話のきっかけを作ろうか、店内を見渡していた麻依の目の前に、空の特大のジョッキが勢いよく置かれ、麻依はそれを置いた大男を見上げた。

「巫女さんか・・・やっぱりオレたちとはオーラが違うっていうか・・・ダーク系な巫女さんならつきあいもあるんだが、あんたは、やっぱりオレたちにとっては、清浄すぎるみたいだが・・・それでも、あの王子さんたちでなく、オレたちの協力を得たいというんなら・・。」
「なら?」

にやりと笑い、大男は自分が持っていた別のジョッキの底に少し残っていたアルコールをその特大ジョッキの中に注いだ。
「え?」
そして、次々と店内にいた冒険者たちが、同じように、自分の手にしているジョッキやグラスをほぼ飲み干し、少し残ったアルコールをその特大ジョッキに注いでいった。

「多少はいける口だと聞いたが、全員となると大勢だからな、これでも、巫女さんのことを思って注ぐ量は多くても1口グラス程度にしておくよう、みんなには言っておいたんだぜ?」
自分たちを仲間に引き入れたいのなら、それを飲み干してみろ!と言わんばかりに、特大ジョッキを麻依の目の前に据えた大男がにやりと挑戦的な笑みをみせる。

「おい、しかし、いくらなんでもこの量は・・・」
抗議しかかったカルロスを麻依は手で制し、にっこりを大男に微笑む。

「親分子分、固めの杯ってわけね。いいわよ。」

??ごきゅっごきゅっごきゅっ・・・・??
「お?・・・・うぉおおおお?・・・・・・」
まさか躊躇もせず飲み始めるとは思わなかった。
どこの馬の骨かわからないしかもごろつきのような猛者たちが多い冒険者たちの飲み残した酒のブレンドを、いとも簡単に飲み始めるとは思ってもみなかった。
そして、量が量である。酒好きの男ならまだしも、目の前の麻依は、一見(笑)清楚可憐な巫女。

「おおおおおお????」
いつのまにか目を丸く見開いて、冒険者たちは麻依の飲みっぷりを見つめていた。

??タン!??
「ふ????・・・・かなり量があったわ。ひっく♪・・・ごちそうさまれした。」
きれいに飲み干して、ジョッキをテーブルに置くと、麻依は、両手をテーブルにつき、ぺこりとお辞儀をした。

「れも、やっぱり、あれこれブレンドしすぎよね?・・・・味はいまいちだったけど・・・・・でも、みんなの心意気は分かったつもりよ?」

「そ、そうですかい・・・」
麻依の目の前に立っていた大男もすっかり麻依に飲まれてしまっていた。

「う????んとぉ・・お返ししなくちゃね。ひっく・・・ちょっと待ってよ・・・・えっとぉ????・・」
「お、おい、麻依さん?」
カウンターの方に向かおうとしてふらついた麻依に、カルロスは慌てて手を伸ばす。

「あ・・ごめんらはい・・・やっぱり量が量だったから、酔っぱらっちゃったかもしんらい・・・きゃは♪」

「ま、麻依さん・・・だからよした方がいいと・・・」

「まー、まー、大丈夫よ、このくらい。うふ♪」
「だ、大丈夫って・・麻依さん?」

カウンターの中へ入った麻依は、にっこりとバーテンダーに笑いかけた。

「ね?お酒の種類はどのくらい?リキュールはある?カクテルの材料は?」
バーテンダーが棚を指さすと、麻依はにっこりする。
「あは♪結構そろってるのね。じゃー・・」
「麻依さん?」
カルロスは相変わらずはらはらして千鳥足の麻依を気遣う。
「だ??いじょうぶよぉ・・・じゃ、いっちゃんズスペシャルカクテルをお返しに調合するわね。ちょっと待っててね。」

酔っぱらって千鳥足。とうていカクテルなど満足に調合できないだろうと思いきや、準備を整えると、酔いによる手のぶれはぴたっと止まった。

そして、手元鮮やかに調合し始める麻依の顔は、酔いによるほんのりぴんくに染まった頬を緩ませ、天使の微笑み。


「はい、どうぞ♪」
「う、うまいっ!こんなうまいカクテル初めてだ!」
「そりゃそうでしょー?らって、あたしのいっちゃん特製らもの。」
「あたしのいっちゃんって・・・巫女さんのいい人かい?」
最初にカクテルを受け取った大男が、半ば呆れた顔で聞いた。
「うふ♪そうよ。いっちゃんよ♪あたしの・・永遠の恋人♪」
「な、なるほど。で、そのいっちゃんは?海賊船にいるんすかい?」
麻依から返事が返ってくるまで、ちょっと間があった・・・。
「・・・いっちゃん・・・・いっちゃん・・」
「み、巫女さん?」
「いないの・・・いっちゃん・・・あたしを置いて・・・・逝っちゃったの・・・・いっちゃん・・・・・」
「み、巫女さん?」
リキュールを1本抱きしめたままその場に突っ立ってうつむいてしまった麻依に、周囲の人間は、どうしたものかと困惑して見つめ続けていた。

「あは♪・・らいじょうぶ、光になったらいっちゃんと会えるもん。」
と、いきなり顔を上げ、涙をこしこしと袖で拭って麻依は再びにっこり笑う。
「巫女・・さん?」
「麻依さん?」
だいぶ無理してるな、というか、酔って本音がでてるんだな。・・誰しもそう感じていた。


「さー、遠慮しないで、じゃんじゃんろ(呑)んでね♪最初はみんなに1杯ずつよ♪後はおかわり自由らから♪ね♪」

「おおっ!」
「ごちそうになりますよ!」
そして、そこにいた冒険者達は順番に、麻依の調合したいっちゃんズすぺしゃるカクテルに舌鼓を打った。


そして、そこにいた全員酔いも最高潮(爆

ちょっとしたきっかけで、野球拳が始まった。
つまり予知能力の話題から。/^^;


「いいぞ!巫女さん!それで49人目だっ!あと一人で50人ごぼう抜きだぜ?」
「あと、ひっとり!あと、ひっとり!」

すっかり意気投合というか、馴染みすぎとも思える麻依に、カルロスはびっくり仰天。

「よ????し、50人目はオレが挑戦するぜ。そう簡単に手の内は読ませねーからな?」
「読んでるわけじゃないのよ。手をだすときふっと相手の出す手が頭に浮かぶだけなのよ。」
「どっちでもいいさ。多少オレも霊力があるからな、簡単には読めねーと思うぜ?」

そして、やんややんやのはやし声とと共に、再び勝負が始まる。
「や????きゅぅう??????ぅ、す????るならぁ????・・・・・・」


そして、宴会はまるで永遠に続くかと思えるほど、盛り上がった雰囲気で続いた。そこにいた全員が酔いつぶれるまで。

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