「ああ。大丈夫。」
黄金郷の街も無事魔族から奪還し、街もそれなりに復興してきた頃、麻依は鬼退治のおみやげを持って元の世界へ帰参するか、この地に永住するか、どちらかにするか、全員の意見を聞きとりまとめた。
それは戦いも収まり落ち着いた今、ホームシックになっている者たちが結構見受けられたからである。
宝を持って海賊島へ凱旋したい、そう思う者がいても当然だと思った。
帰れば名声(かな?)を得られるが、ここにいれば、黄金などあちこちに転がっていて価値がない。(え?
「送り出したら異空間への出入口は完全に閉じるから、やり直しはきかないわ。しっかり考えてちょうだいね。」
それは闇の侵攻時の衝撃によりできてしまった次元のひずみであるその出入口を完全に塞ぐ前の出来事。
「カラフォグ、みんなをよろしくね。それから・・・ハチによろしく♪」
「はい、麻依さん。まかせておいてください。」
「いいか、カラフォグ、異次元航路までは、ふるさとの世界への入口までは麻衣さんが光のエナジーに乗せて送ってくれる。それまでは何事もないだろう。が、問題は元の世界へ戻ってからだ!いきなり時化かもしれん。こっちと向こうの時の流れが違うことと、麻衣さんがそれも考慮して送り出してくれることとで、オレたちが海賊島を出向した数週間後ということになるらしいからな、黄金郷の情報を奪取しようと、あの海域をうろちょろしてる他の海賊やどこかの軍艦などが待ちかまえてるかもしれん。」
自分の船を、帰省組のクルーたち、そしてその家族の命を託す部下のカラフォグにリーファ船長は念を押す。
「はい、おやっさん、それは心しておりやす!全員ここでの魔族とのあの激戦を勝ち抜いてきた者どもばかりだ。大丈夫でやす!」
「まー、そうは思ってるが、油断は禁物だ。麻衣さんの行為を無にすんじゃねーぜ?無事大親父に報告するんだぞ!」
「へいっ!」
帰参組の希望者と宝の山をを乗せ、カラフォグを船長としたその船は黄金郷の港を出発した。
「お、おやじ!!せ、船影が見えやす!あ、あれは・・あれは確か、リーファ船長の船・・」
「な、なんだって?」
元の世界、黄金郷を目指し出発した海賊島の港。
迎え出た人々と、再会を喜び、無事目的達成したことを全員で喜び合う。
「そうか・・・摩衣夢さんと一休さんのことは・・残念だったが、麻依さんは、見事光の宗主の座についたわけか・・。みんなもその地で落ち着いて元気なんだな・・。」
その夜、にぎやかに開かれている歓迎会の席を離れ、ハチは夜空を見上げながら一人酒を飲んでいた。
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